宮崎のNPOと企業つなぐNPOパートナー・リレー・トーク。
第1回は、宮崎県内初の「さわやかインストラクター」になった初鹿野聡さん。
NPO法人「きよたけ郷ハートム」の理事長であり、元県警の警部補。
設計事務所を経営しているはずなのに、宮崎のNPOのイベントに皆勤賞。
(編集部) いったい、いつ働いているんですか?
設計事務所の仕事は、私を含めたスタッフ4名全員で役割を決めてやっています。
設計など具体的に建築進める建築士スタッフが2名、お客様のローンの組み立てや資金計画、
手続き、そして建築後の税金や手続きをお手伝いする
ファイナンシャルプランナーであり宅建主任者が1名、そして、社長は建築士でもありますが、
全体のマネジメントをしています。
会社のホームページは、社長の手づくりです。
http://excel99.co.jp/
知り合いから相談がありますが、営業となるような話はしません。
その人の相談にのります。
これは、起業したときの大事な理念の一つで、
人のお役に立てることは、何でもやろうと考えており、
それに基づいています。
それに、相談される方の中には、NPO法人きよたけ郷ハートムの理事長でもあるので、「いいかげんなことはしないだろう」とハートムの活動の評価が、人としての評価やこういった私の個人が関わっている会社の業務にも影響しているようです。
理事長として走り回っていることが、結果として会社のCSR(企業の社会貢献)という評価になっているのかもしれません。
これがどれだけのウエイトがあるか分かりませんが、会社としては営業や広告はしていませんが、NPOの活動に時間を割いているにも関わらず仕事も、途切れないで入ってきます。
それと、これがこのNPOの活動があるからかというと、それは一部の話で、基本的には、社員がそれぞれ自分の役割を果たして、いい仕事をして、お客様に喜んでももらっているという大前提があるからだと思います。
(編集部)家を建てるのは、大きな買い物ですから、信用できる人に話を聞きたい。
NPOの活動をしていることが信頼になり、お金では買えない、一番得るのが難しい信用を得ること
になる。
企業とNPOの好循環が生まれているんですね。
ところで、NPOを始めたきっかけは?
もともとPTA活動から入りました。
地元で、設計事務所を始めたところ、PTAの役員の話がきました。
@人のお役に立てることは何でもやろう。
A社会から必要とされる会社ならつぶれない。
という理念で、起業したので、PTA役員は私でもお役に立てることですから、喜んで役員を引き受け
ました。
1年目に会計、2年目に副会長、3年目に会長になりましたが、面白かったです。
かなり、のめりこんで、PTA活動をしていたのですが、
この間、不思議と、本業の仕事の受注も途切れませんでした。
PTAの場では、一切、建築の話はしませんが、
PTAの役員として活動していることが、結果として、自然と本業にプラスになっていたのかもしれません。
その頃、大阪の小学校の事件があり、地元でも「声かけ事案」がありました。
下校時の「立ち番」を、当番表をつくらないで始めました。
「やれる時間にやれる場所でやりましょう」と呼びかけました。
自分の子どもは、まず、自分で守る。
誰かが当番表をつくらないとできないのはおかしいと思いました。
執行部11名は、ローテーションをつくって、毎日、立ち番をしました。
どこに立つかは、自分たちで考えたり、子どもに聞いたりします。
最初の1週間は、執行部だけでしたが、少しづつ、参加者が増えていきました。
下校時に、消防団が消防車で巡回する地区も現れました。
こんなに地元がまとまっているところには、犯罪者は近寄れません。
組織づくりから始めて失敗する事例をたくさん見ていたので、
大人を当事者にする 自分たちが行動する という作戦でした。
子どもが中学校を卒業すると、親も地域から卒業していきます。
子どもが中学校を卒業しても、地域で活動できる場をつくろうと思いました。
学校の売店や外注できることは、やることの多いPTA役員が無理してやるより、地域に密着したNPOに委託した方が、地域と学校や子どもたちとのつながりも出来ていいのではと考えたことが
きっかけになり、NPO法人をつくりました。
また、この方がPTA役員の負担も軽くなるので、少しでも役員のなり手が増えるのではないかとも考えました。
当時清武町の加納地区には、公共施設がありませんでした。
民間企業の体育館を購入することを町に提案し、「陳情」しました。
NPO法人のスタッフが、嘱託職員、臨時職員になり、
加納スポーツセンターの運営を担当しました。
現在、NPO法人として、独立した拠点を持つことを計画しています。
メーリングリストで情報を共有し、定例会もやっていますが、
独立した拠点がないということが、事業を大きく制限し、メンバーの活動を鈍らせてしまうと感じているからです。
(編集部)宮崎県で初めての「さわやかインストラクター」になったんですね。
新しい拠点では、地域に必要なサービスを提供していきます。
子育て支援だけでなく、高齢者向けのサービスも考えています。
福岡の人から推薦されて、「さわやか福祉財団」のインストラクターになりました。
さわやか福祉財団とハートムの方向性が合っているので、これは、相乗効果があると判断したからです。
鹿児島、CS神戸、東京での各2日間の研修は、自腹での受講です。
しかし、これで、「たすけあい」の有償ボランティアの仕組みやさわやか福祉財団が持っているノウハウを、宮崎に導入するお手伝いができるようになりました。
理事長の堀田力さんと、直接色々とお話できたのも良かったです。
(編集部)元公務員として、行政マンに、NPO・ボランティアとの付き合い方を、アドバイスしてください。
行政の担当者が「ボランティアを使う」という意識でいると、ボランティアは離れていきます。
ボランティアを使うのではなく、一緒にやれることを考えるという姿勢がいいと思います。
そのためには、自分自身が、仕事は関係なく、ひとりの人間として、ボランティアしてみるのが一番です。
私が警察を辞めたのは、(不祥事ではなく)組織にいると、自分の感覚で動けないからです。
ハートムも今の会社もそうですが、
もっともっとやってみたいことがあって、
その時に大切にするのが、インスピレーションです。
インスピレーションを働かせて行動するためには、最後は自分が自分で責任を取るという確固たるものが必要です。
誰にでも辞めることは薦めません。行政にいても、自分の判断で動けるボランティア活動はあります。
(編集部)最後に、リレートークの次の方を指名してください。
NPOの人がいいんですか。企業の人にNPOを知ってもらうために、企業の方にしましょうか。
(編集部と相談の結果、NPOと企業が交互に登場するリレー・トークという企画になりました。)
パームス(宮崎県内のフリーペーパー)の編集長に、「宮崎のNPOに言いたいこと」を聞いてください。
NPOに関心を持っている媒体として、本音を聞いてみたいですね。
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