◆現在の主な活動は・・・
施設としては平和が丘ケアホームと小規模多機能ホームよかよかの2つの施設を運営しています。
事業としては、宮崎市から「認知症高齢者地域支援体制構築等推進事業」を委託されています。この事業の内容は、認知症の方を地域で支えるネットワークの構築を行うという事業です。具体的には医療、地域住民、介護施設の連携をとって、福祉マップのようなものを作り、ご近所で支えあう仕組みを構築しようとする事業です。
お年よりは最後まで在宅で暮らしたいと願っています。家族の会はその思いを支えることが活動の目的の一つですので質の高い尊厳ある生活を在宅でおくれる社会になることは望むところです。
NPOの活動と家族の会の目的は全く一緒です。
家族の会の活動資金は殆どありませんが、それを補助金に求めるのは用途等に制限があるので、そういうところに依存や期待しないで活動できるようにNPOを立ち上げました。
認知症の人と家族の会は、認知症の方を抱えている方のご家族の集い、会報発行、電話相談がメインの活動です。
一番残念なのは、認知症の症状が悪くなり、問題行動が多くなると、施設を追い出されてしまいます。そうなるとご家族はどこに預ければいいのということになり、追い出さない施設をということで、認知症の人と家族の会の法人で平和が丘ケアホームを開設しました。その後、家族の会を支えるためにNPOを立ち上げようと思っていたので、NPO法人に経営を切り替えて、小規模多機能よかよかの立ち上げ準備に入りました。
◆世間の認知症に対する理解は・・・
認知症の人と家族の会を立ち上げた時の相談で多かったのは、介護の大変さでしたが、最近ではサービス利用の仕方、サービスのつなぎ方、権利擁護に関する相談も増えてきています。またサービスを提供する施設からの相談も増え来ています。
一番大きく変わってきたのは介護保険が始まってからだと思います。介護保険の前では、認知症の人は厄介な人ということで、サービスの利用がしにくかったのです。進行して徘徊などの厄介な症状がなくなった人が特老に入る事はできたのですが、それ以外の身体は健康で徘徊する方は精神病院でした。介護保険が始まり調査していくうちに、認定の半数以上が認知症だということが分かって、厚生労働省も「痴呆」から「認知症」と呼び替え、認知症を知ってもらうキャンペーン等を行ったりしました。いわゆる厄介な日常の行動は本人の意思でやっているのではなくて、周りがそうさせているのが分かってきたので、認知症も早期発見し、早期治療をするということが大切だと言うことです。
認知症を正しく理解し、正しい対応することで認知症の人は穏やかに暮らすことができます。認知症ケアの切り札としてグループホームケアが推進され多くの認知症の方が救われました。しかし、グループホームが全国的に増加し、介護保険財政を圧迫し始めたので、厚生労働省はグループホームの設置はやめ、小規模多機能型居宅介護を地域密着型サービスとして創設しました。ところがこの小規模多機能ホームは保険点数が低く、あまり儲からないので増えていないのが現状です。
◆活動を通してうれしかった事は・・・
私たちが支えになったと言う事で、ご家族が喜んでいただけるのが一番です。家族の方はケアは大変だけど、事務所に集まって愚痴が話せるだけでもよかったとか、事務局が係わらなくても、会員同士でのネットワークができてきたと言う事が一番うれしいですね。
◆事業をされていてやりがいを感じることは・・・
昔ながらの在宅死の経験をしながらご家族が安心して見送られること。見送った後も、あそこで見送ってもらってよかったと思っていただけること。今でも見送ったご家族とのつながりがあります。職員とご家族が友達のような、兄弟のような関係を築いています。
ご近所から家で野菜ができたからとか、いっぱい貰ったのでこれ使ってくれるということもありますし、地域への繋がりにも広がっていきます。団地のど真ん中にグループホームを作ったのですが、反対運動もなく、今は大丈夫だけど実家の両親がもしもの時はお願いねとか言うような状況でスタートできたのも幸せですね。
NPOは、人との繋がりを大切にして活動を進めていくのがいいのかなと思います。実際活動をしながらそれを肌で感じています。
◆5年後どうなっていたいですか・・・
法人格のことはよく分かりませんが、もっともっと情報発信をしたり発言力を大きしたりするには、NPOよりも例えば社会福祉法人とかのほうがいいような気もします。理念そのものは変えるものでもないしかえるつもりもありません。
5年後は少し方向性が替わっていって、地域づくりをおこなっていると思いますので、地域をサポートすることが私たちの役割となるでしょう。
◆この活動を通してどんな事を実現したいですか・・・
究極は、地域で認知症の方を支えていくということです。例えば、一人暮らしが無理になったら皆で同じところに住み、そしてそれをご近所の方がサポートできるような感じですね。そうしたら我が家ではないですが、同じ空間で生活して、いわゆる企業主導の営業型のグループホームではなく、民間型のグループホームができて、そこを近所の方や専門職の方がサポートするようになると安心ですよね。
認知症と言うのは、不安が一番大きな要因です。ボケの遺伝子を持っていて、それがでてくるかどうかは環境による事が多いですね。認知症になっても大丈夫だと思える社会だったら認知症の人は少なくなるかもしれません。もし認知症になったとしても穏やかな認知症でいられると思います。講演の後の質問でよく出るのが、「どうしたら認知症になりませんか」と。認知症予防のサプリメントとかいろいろありますがどうでしょうかって。そういう時はそのお金でおいしいものを食べたらいかがでしょうかって言います。自分だけ認知症にならなければよいと思っているより、「呆けたらよろしくね。」と言える環境や人間関係を作っていくことが認知症予防になると思います。
今、小さな集落で小規模多機能型居宅介護の立ち上げの勉強会をしています。小規模多機能居宅介護サービスも利用すると利用料が3〜4万円かかります。その利用料の3〜4万円が年金では出せず、利用できないで在宅ケアされている方もいらっしゃいます。その小規模多機能居宅介護サービス施設が経済的負担を少なく利用できるように、例えばおばあちゃんを見てもらうのに2千円かかるとすると、自分の空いている時間にそこに行ってアルバイトして2000円稼ぎ、それを利用料に充てようというシステムが考えられないものだろうかと。小さな地域で、経済的負担を少なく利用できるシステム作りが大切だと思います。このようなシステムができれば、宮崎モデルとして全国発信できるねと話をしています。
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