NPOマネジメント講座の第3回では、とうとう涙ぐんでしまった。
「公社改革」なんか、とっくに終わっている。
「指定管理者制度」の先を走っている三鷹市。
そんな話をしてくれた関幸子さんは、
日経ウーマン誌が選ぶ「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2005」の
第6位にランキングされている注目株。
政府の審議会の委員もしていて、
小泉首相に、直接、意見を言える場を持っている。
今は、株式会社「まちづくり三鷹」に出向しているが、
三鷹市役所の職員。
自治体の職員でも、ここまでできるんだと思ったら、胸が熱くなってしまった。
そんな関さんは、市役所も、財団法人も、株式会社も経験。
市民と企業と行政の協働の話もかなり具体的。
現場で実践してきた人の話には力がある。
どうして市役所の職員が株式会社にいるのか。
こんな歴史があった。
三鷹市には、もともと財団法人の「まちづくり公社」があった。
ハード整備が終わって、産業振興のソフトサービスが必要になった。
でも、「まちづくり公社」の定款では、企業誘致ができない。
定款を変更しようとしたけど、東京都は認めなかった。
財団法人を、もうひとつつくるしかない。
でも、5億円を拠出する余裕はなかった。
三鷹市は、株式会社を選んだ。
財団法人を解散して、資本金2億8千万円の株式会社をつくった。
その3倍近い売り上げがある。
公社時代の公益事業は、全て引き継いだ。 これは、持ち出ししてでもやりたい事業だ。
株式会社だから赤字にはできない。
黒字化のシュミレーションができるまでに3年かかった。
(清武町は、3ヶ月で株式会社をつくろうとした。)
遊休地を、全て駐車場、駐輪場にして、不動産管理を事業にした。
産業振興の企画支援事業でも稼いでいる。
市民への説明責任を果たすため、市議会の各会派の代表4名による「助言者会議」をつくった。
民間のノウハウを導入するため、「三鷹市経営懇話会」をつくった。
学者2名と、中小企業の経営者2名の4名で構成。
経営者は、八王子市の男性と横浜市の女性に依頼した。
中小企業を支援するノウハウは、中小企業の成功者に聞け!
という趣旨だ。
三鷹市の職員は、指定管理者制度について、「今頃?」と感じている。
公共施設だけでなく、いろんな事業を、自己判断で、既に「民」に渡している。
学校には、お父さんやお母さんがウロウロしている。
図書室を地域に開放して、土日も開いている。運営は市民に任せて、責任は市役所が取る。
市役所がビジネスプランのコンテストをやる。
昨年、1位になり、賞金百万円を手にしたのは、ネットオークションによる中古家具の販売だった。
市役所が粗大ゴミで処分すれば、手数料収入以上のコストがかかる。
市民は、手数料を払うかわりに、売り上げ代金をもらえる。
事業者には、双方から5%づつの手数料が入る。
市のコンテストで1位になったことが、市の事業を委託する理由になる。
オンリーワン企業と行政がつき合える仕組ができる。
こんなことができるのも、徹底した情報公開と
かなりの手間をかけた市民参加を続けてきたからだ。
昭和48年から、コミュニティ行政を展開している。
7つのコミュニティ地区にひとつづつ拠点をつくる。
どんな拠点が必要か、コミュニティカルテづくりから始める。
運営費は年間1億5千万円。地区の協議会が、全て決める。
市役所は、金は出すが、口は出さない。
地区の意見がまとまったところから拠点をつくった。
7つめのコミュニティセンターは、議論が続いており、まだ、できていない。
NPOマネジメント講座の当日、会場で、こんな質問が出た。
「どうしたら、関さんみたいな職員が出るんですか。」
キーワードは、「情報を共用する」だった。
市役所のどこにいても、議会で市長が質問に応える姿を見れる。
活字情報ではなく、どういうトーンで答弁しているか現場の空気がわかる。
だから、職員は、市民から質問があっても、市長と同じ答えができる。
市長レクには、担当職員を連れていく。いろいろ、横断的な組織をつくっている。
職員は、いろんな情報を持っている。
できるヤツのところには、さらに情報が集まる。みんな、人の電話に、聞き耳を立てている。
最近は、メールなので、やりにくくなった。
ITの時代になって、ひとりの影響力が大きくなっている。
だから、「ひとりしかいない」と思わないで、「ひとりいればできる」と考えて…
「アツい想いを持ち続けること。具体的に行動すること。」
3回のマネジメント講座に参加して、宮崎のNPOならではの企画に感謝して、
そんなことを考えた。
三鷹市ホームページ
http://www.city.mitaka.tokyo.jp/
三鷹市まちづくり会社
http://www.mitaka.ne.jp/tmo/
(取材:「街・元気」事務局S)
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