第2回 NPOマネジメント講座  報告
 (H16.12.5 清武町文化会館小ホール)

  「楽しくなければ地域活動じゃない!」

 

 

NPO法人「きよたけ郷はーとむ」の初鹿野さんが、 法人立ち上げ前に、上京して相談した人。
設立認証をメールで知らせたら、「バンザイ!」って返信してくれた。

 そんな紹介を受けた富永一夫さんは、東京の八王子市にある NPO法人「フュージョン長池」の理事長。 また八王子市がつくった「長池ネイチャーセンター」館長。

 多摩ニュータウンの話が、池田台の参考になるかなという疑問は、妻が、隣の田野町出身で、旧姓は山田ですという自己紹介で一転。
「チョー歓迎」モードで話を聞いてしまった。

 誰もが不思議に思うのは、どうして、47歳で会社を辞めて NPOを始めたのかということ。
 5年前の日本は、誰もNPOを知らない。わからない状況。だからこそ、サラリーマンに辞表を出して、 自分の経済的リスクを最大化して、NPOのさきがけになろうと覚悟した。
 よく、奥様が許してくれたなって思ったら田野町出身だった。 なんだか、親戚が頑張ってるみたいな嬉しい気分になる。
 民間企業で鍛えた営業トーク。本日の講座でも何の話だったか忘れないように、結論を先に言う。
 「地域は舞台」「住民は主人公」「企業と行政は応援団!!」

 ここで、本日の出席者の1/3が公務員であることを披露。
行政マンが、平気で「タダで協力してくれ」と言うのは間違い。 NPOに人件費を払うという常識を持ってほしいと訴える。
 さて、富永さんが考えたマーケットは、 歩いて30分圏の顔の見えるコミュニティが基本。さらに行政区分とは違う「生活圏コミュニティ」まで考える。 それ以上は、あまり関係ないと割り切る。

 富永氏のコミュニティは、多摩ニュータウン。 都会的田舎暮らしができる場所。
あいさつできない大人たちの街。 石を投げると大学教授に当たる。
 そんな街で個人主義的市民活動家を名乗る富永氏の基本は、「自分の価値観を押しつけない」こと。
 マーケッティングと営業が専門だったので、 地域活動という名のサービスとして考えた。子どもにいいことをすると、親も出てくる。
地域で使われていない列車の車両があったので 鉄道ぽんぽこクラブ。

 「夏休み40日間学校開放」でさまざまな取り組み。ピザづくりでは、40日も使われない給食室を活用。

 地域の給食室を24時間営業にすれば、配食サービスでも何でもできるというのが持論。

 学校でイベントをすると、その学校の先生が協力してくれないのは当たり前。
誰だって、休日に、自分の会社でボランティアはしたくない。
でも、校区外の、自分の子どもの学校でのイベントには協力してくれる。

 ところで、地域活動も営業的に考えると、わかりやすいキャッチコピーが大事。
平成たぬき合戦の上映が最初のイベントだったので、会報は「ぽんぽこかわら版」。

 ここで、地域活動の作法をふたつ
@人のうわさ話はしない。
A人と議論をしない。(あるべき論を言わない。)

 「楽しくなければ地域活動じゃない」だから、口論になりそうな時は、
「よくわかんない。ぽんぽこ」と言うと笑っておしまいになる。

 そんな願いをこめた夏祭りは「ぽんぽこ祭り」最初は500人の参加。今では3千人が集まる。
でも、打合せは6回だけ。予算は3〜5万円。

 「しあわせは独立採算性」自主自立でやれる人ならできる。

 でも、全体の場を調整する人が必要。
たとえば、気になる雨天時の食材の扱い。最初に富永さんが、地元のスーパーに交渉して、雨ならキャンセルという契約を結ぶ。

 こんなしかけがあれば、運営に参加する人は「美しい誤解と偉大な錯覚」で、イベント成功を自分の手柄だと思って、次も頑張る。

 地域活動の重要なポイントが情報活動。「ぽんぽこかわら版」は地域の1万戸に全戸配付。

 以前は年6回発行。今は年4回。
やり始めたことを撤退するのも大事。
そんな時、協力しない人ほど反対する。

 もひとつ重要なのは、「イエスファースト」でものを言うこと。「そうですね」と答えてから、ゆっくりほぐしていく。時間をかけて、事実でお話しする。
理念でぶつからない。

 「ぽんぽこかわら版」には目立たない企業広告が入っている。月1万円で、消費税も入れると、年12万6千円。

 社長に、何の意味もない広告を出してくれませんかと言う。これが、ボディブローのように効いてくるんです。年4回だけど、1年中、配っています。

 「地域に知らせる」ことも、お金がないので、インターネットを使う。

 メーリングリスト「ぽんぽこネット」は、地域の電子井戸端会議。

 ぽんぽこWEBホームページは、地域の電子掲示板。

 最悪のことを考えて、全部セーフティネットを張ったらあとは前向きに考える。
(みんなが前向きになれるよう誰かがセーフティネットを考えるってことかも)

 たとえば、今日の講座にOHPを使っているのはトラブルを回避するため。

 実は、今日、強風で飛行機が飛べなかった時、まず、13時半に間に合わなかったらどうするか、初鹿野さんに考えてもらった。

 結局、13時すぎに宮崎空港に着いて会場に直行。
それからパソコンをセットしていたら始まらない。OHPだから、すぐ始められた。
OHPを使うのは「リスク感覚」の問題。 

 ここから、次々と事業を披露。自分が助けてほしいから「PCレスキュー隊」。

 多摩ニュータウンLAN構想「たまらん」では、NPOとベンチャー企業が提携してADSLを普及。

 NPOが土日に営業活動をして500回線成約。1件で1万円のキックバックで活動資金を獲得。

 住宅管理支援事業は「住見隊(すみたい)」 ジャパンネットバンクと提携して団地会計管理。

 「夢見隊」は住まいづくり支援事業。コーポラティブ方式での住宅建設。
14世帯の理想の住まいを実現するのに、相当なエネルギーを費やした。

 日本語は表意文字。見てわかるキャッチコピーに最適。

 いろんな事業を知りたい人は、西の「CS神戸」、東の「せんだい・みやぎNPOセンター」のHPを見て。

 「フュージョン長池」では、運営を受託している「長池ネイチャーセンター」で福祉作業所の物品を「販売」。カンパの10%がNPO法人のコミッション。

 「長池ネイチャーセンター」は館内にライブカメラを設置。災害時の情報発信を意識して、高尾山頂にも設置して二元中継。
1日千件のアクセスあり。 これも、NPOと企業の協働事業。

 ところで、「長池ネイチャーセンター」は、「指定管理者制度」にさきがけて、八王子市がNPO法人に運営を委託。

 指定管理者制度は、地方自治法244条の改正で、2003年9月にスタート。(2006年9月まで)民間会社やNPO法人が運営できるようになった。

 「適正な指定管理者とは」
@閉鎖的にならず、公益的な管理・運営をしているか。
A地域住民の応援を得ているかどうか。
などなど。

「FNPO法人自らの資金で情報発信をすることに挑戦しているか」
に「街・元気」事務局Sは、大きくうなずいてしまいました。

 最後に、大事な話がふたつ。

 NPO法人の付加価値をプレゼン。
「長池ネイチャーセンター」をNPO法人が受託しているからできる
ボランティア活動時間の費用効果は、
年間11,240時間で9,554千円。

 事業に6,340時間 5,389千円。
 管理に4,900時間 4,169千円。
(事業費しか考えない行政関係者は、しっかり見て!)

 1千万円の受託費で、職員を3人置いてここまでやってるのは「NPOの底力」。
なのに、費用効果を引き算してしまって、だったら50万円でできるのって言った行政マンがいるらしい。

 もうひとつの大事な話は、会場からの質問への回答。

 現在、財団法人が受託している施設の運営は、「指定管理者制度」でどうなるの?
 施設の運営を、行政直営か指定管理かを3年以内(2006年9月まで)に決めろということ。

 こんな大事なことなのに、みんな知らない。
「契約」より対等な「協定」。
「委託」ではなく「委任」。

 どこにするかは、入札ではなく、1件ごとに議会の議決で決める。

 財団+NPOでもいいし、NPOのジョイントでもいい。

 心配なのは、適正な基準が示されていないこと。
みんなで考えて公開討論していいくらい大事なこと。

 「長池ネイチャーセンター」は新設だったけど、
既存施設には、そこで雇用されている人がいる。
NPOが取って変わればいいという議論ではない。

 レポートはこれで終わりますが、
「指定管理者制度」については、
ほかのコーナーでも考えていきたいと思います。
 



                               (取材:「街・元気」事務局S)

                                        



   
   
 
 
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