「NPOマネジメント講座」受講レポート

 「一点突破型」の事業を考えろ!
 


 宮崎県が、NPO法人に委託したNPOマネジメント講座が始まった。
今回は、初めて3法人のジョイントで受託した。

 第1回は宮崎文化本舗の企画。
担当は、「NPOで働く人々@」で紹介した野崎佳代子さん。
http://www.machi-gennki.net/people01.htm

 宮崎のNPOは、自分たちの活動は一生懸命やる。 でも、NPOに共通のミッションが見えない。
日本人はNPOを必要としているのかさえ疑問に思い始めた。

 そんな彼女の渾身の企画は実に濃厚だった。

いきなりドキュメント映画の上映会。

 「パールハーバー」直後から、日系人がFBIに「逮捕」され、 12万人が収容所に送られた。

 同じことが、「911」後のアメリカで、アラブ系米国人に対して おころうとした。今度は、日系人は黙っていなかった。

 60年前の自分たちと同じ思いをさせてはならない。
声もあげられないアラブ系の人たちのために、日系人が立ち上がった。

 上映後に、ドキュメント映画を制作した星野さん (サンフランシスコ在住)から感想を聞かれたが、誰も何も言えなかった。

 そして、第2部が、サンフランシスコでNPOを立ち上げ 運営した経験を持つ今田さん。

 星野さんの映画と、NPOマネジメントをつなぐ話ができれば、 そんな口上で始まったが、なんでサンフランシスコなの?
ということが、ずっと気になっていた。



 サンフランシスコのNPOのヒーローたちの話の後で ワークショップに入った。

 参加者は、「私たちの地域における『多様性』とは?」 という1枚のシートを渡された。

 4つの欄に区切られていた。左から順に
@なんの分野において?
Aどんな風に多様なニーズがあるの?
Bそれはどうしてわかるの?
Cそのニーズに応じて(NPOが)すべきこと、できることは?

 あえて、例示することを避けて、自由に記入するよう言われた。
誰に見せるものでもないし、回収もしないと説明された。

 「なんの分野」を書いたかを質問された。今田氏が
黒板に書いていった。他にもうないか確かめてから言った。

 参加者が24名だから、6人づつ、4グループに分けたい。
7名、5名のグループができてもいいということで、
8つあがったテーマから、多い順に、4つの分野を選んだ。
4番目の分野は、同数だったので、今田氏が決めた。

 4つのグループに分けて、シートに区分されたA〜C について話し合い、グループ別に発表した。

 研修、講座のワークショップにありがちなこととして、 抽象的な内容でまとめようとするグループに対して、 今田氏は、自分がビルゲイツだと思ってプレゼンするよう挑発した。

 NPOの魅力は「一点突破型」の事業ができること。
わかりやすい活動には、金が出しやすい。

 NPOが勝負できるのはアイデアだ。
相手が「なるほど」と思うニーズを「一点突破」で解決する事業を考えろ!
と言われている気がした。

 残り少なくなってしまった時間の中で、 今田氏は、まとめのプレゼンを一点に絞った。

 それは、「多様性に寛大な社会」を考える中で、 「NPOの立ち位置」をどう考えるか。

 ひとつの考え方として、サンフランシスコのNPOの場合、 一番中心に「声の小さい人」がいる。 (社会的弱者という表現は使いたくない。)

 その回りで、仲介、介添、媒介の役割を果たすのがNPO。
さらに、その回りにいる「支援者」と「声の小さい人」をつなぐことを 「協働」事業として組み立てていく。

 私が、なるほどと思ったのは、自宅に帰って3時間後だった。
星野さんの映画で、「声の小さい人」はアラブ系の米国人。
今回、NPOの役割を果たしているのが日系人。
そして、映画を見てしまった私たちも、支援者(少なくとも理解者)のひとり。

 今回の講座を担当した野崎さんは、アメリカで感じたNPOへの思いを 形にできないまま、半年以上立って、ようやくこの企画にたどりついた。

 この講座に参加した人たちも、心に残ったものに気づかないまま 時をすごすかもしれないけれど、誰かがそれを形にしたとき、 一点突破で事業にしたとき、きっと反応できる。

 宮崎のNPOが、それぞれの思いを込めて企画するNPOマネジメント講座。
第2回は、12月5日(日)13時半〜 清武町文化会館小ホール
http://excel99.co.jp/ha-tom/npokouza.htm

 「わがまちポリス」で注目度アップの「きよたけ郷ハートム」さんの担当です。
http://excel99.co.jp/ha-tom/police.htm

 「楽しくなければ自治じゃない」と言い切る行動力の秘密は、 参加する人にしかわからない。



                               (取材:「街・元気」事務局S)

                                        

 

   
   
 
 
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