*このレポートは、「メディアミックスによるNPO・ボランティア広報事業」(宮崎県社会福祉協議会委託事業) の一部です。
【お話】大淀川流域ネットワーク
代表理事 杉尾 哲さん
50年後を見据えて誰かが始めないと、ずっと0(ゼロ)だよね・・・・・・・・。
小さな活動かもしれないけれど、誰かがやらなければいけない活動!!


◆きっかけは・・・
 第10回「大淀川サミット」のパネルディスカッションで、「基調講演者から、住民の活動が必要ですよ」、と提案があったことがきっかけですと事務局長の田水さん。

 設立発起人の代表は、宮崎大学工学部教授の杉尾哲氏で、大淀川の清流を取り戻すために多くの団体が個別に活動しているが、「連携することで、さらに大きな効果が期待できる」ということで、2002年11月からネットーク化の準備をすすめ、2004年4月21日にNPO法人として成立し、現在、個人会員150名、賛助会員13団体で構成されています。

 大淀川サミットは、大淀川流域の※16市町村(鹿児島県の2町を含む。)が、各行政区域の枠組みを越え、住民・事業者・行政が一体となって河川浄化活動を実施してきたものです。平成5年度から毎年7月7日の『川の日』に、河川浄化啓発を目的としたサミット大会が開催されている他、一斉水質検査を行っています。
 また、『河川をきれいにする統一条例』が流域16市町村で制定されるという成果も上げています。
※連携する16市町村(合併後は9市町)
宮崎市、都城市、小林市、三股町、山之口町、高城町、山田町、高崎町、高原町、野尻町、須木村、高岡町、国富町、綾町、鹿児島県末吉町、鹿児島県財部町

◆主な事業は・・・
大淀川流域ネットワークTIMES
 
大淀川のノスタルジーを巡るお散歩
 
採用の面接で、“トトロの森と環境保護の話”に、感動し、胸を打たれて事務局に入った早瀬さん
 
水辺を調べる・楽しむツール
 
川の初級指導者養成講習会
 
市民活動フェスティバル
 
大淀「川」のワークショップ
 
水辺指標講習会

 ●大淀川流域に関わる情報発信
 ●大淀川ワークショップの開催
 ●川に関する人材を養成する「大淀川環境大学」の開催
 ●河川浄化活動の支援
 ●日常的な環境モニタリングの実施
 ●大淀川の魅力を再発見するイベントの企画と募集

 会の中に、イベント部会、調査部会、広報部会、教育部会、評価部会と5つの部会があり、それぞれ部会長の下で精力的に活動が行われているということです。
大淀川流域ネットワークTIMESもカラーの印刷で定期的に14号まで発行されているようですが、資金的に少しきつくなって来ているという話も伺いました。

 大淀川の水には、川だけでなく、森・海の関係、上流・下流の関係、都市地域・農山村地域の関係、行政区・所管官庁の関係など、水循環に伴う様々な問題が関係しています。
 したがって、大淀川の水の問題を解決するには、ひとつの地域や団体や分野だけでなく流域の住民団体等が一体となった取り組みや、産・官・学・野(野とは民間人の立場を言います)の各分野が一体となった取り組みが重要になるということです。


◆多岐にわたる活動の中身を紹介
●大淀川環境大学は、環境を保全するボランティなどを志す方を対象に自然や川文化などの項目について講座を開き、大淀川に関する人材を養成しており、一般住民向けと指導者向けがあり、修了者には認定証が授与され、卒業生として登録されるそうです。

●子ども自然体験合宿「おおよど川の学校」は、川流れや川遊び、ネイチャーゲームや自然観察、魚のしかけづくり、トトロの森探索など、いろいろな遊びが用意されていて、理屈抜きで楽しめる学校のようです。「驚き・笑顔・貴重な体験」があります。

 川で遊ぶことが、昔の遊びになりつつあるこの頃、私たちの住む大淀川のすばらしい自然を再認識し、親子の思い出づくりとしては、絶好のイベントだと感じました。

●また、大淀「川」のワークショップは、大淀川流域で、様々に活動している人々が、お互いの活動を称えあい、「いい川とは何か」の答えをみんなで探し、お互いの情報を交換し、交流を深める場として平成16年から開催しています。

●平成16年度内閣官房都市再生本部事務局の「地域経済・社会」の活性化を目的とした、都市再生本部(本部長:内閣総理大臣)において「全国都市再生モデル調査」の対象として162件が選定されましたが、宮崎県内では当法人から応募した「子供の川体験から発想するウェルネスシティ支援システム検討」が唯一採択されました。都城市が目指しているウェルネスシティづくりと川をうまく連携させ、子供たちの川体験をその中心に据え、親の世代の地域住民に環境保全への理解を深めてもらい、住民が自ら考え行動して河川を活かしたまちづくりを進めることが出来るような、システムの構築を目指したものでした。また、川が育んだ歴史や文化についても調査するという内容でした。
 また、この活動をもとに平成17年・18年度は、文部科学省生涯学習政策局の推進する「子どもの居場所づくり新プラン」を活用し、「地域子ども教室」を毎月4回都城で開催しました。カヌーや昔遊びの教室で、「川とのつながり」を子どもや父兄とともに体験。場所は、「ウエルネス川の駅公園(都城)」。

◆ところで「がくれんすづくり」とは・・・?
 またこの流れの中で、「ウエルネス川の駅公園」前の水辺が、もう少し自然豊かなところであって欲しいという思いに市民20名が賛同し、「がくれんすづくり」が始まりました。「がくれんす」とは鬱蒼とした樹木の迫る岸辺であり、瀬には「ヤマトシマドジョウ」が泳ぎ、ヤマセミが飛び込む淵では子どもが遊ぶ。流れる野川はマシジミが棲み、初夏には蛍が出て吉祥草が咲く・・・・・・・・。「おだやかなる心を育む空間を」我々が望み、少しだけ自然に配慮すればきっとできるプロジェクトです。

参考:国土交通省宮崎河川国道事務所

●平成17年度宮崎県環境管理課の委託事業で、新しい宮崎県独自の水辺環境指標の策定も行い、参加者用のしおり「水辺を調べる楽しむ」を作成しています。
 6項目からなる調査項目(1)自然の音、(2)自然景観、(3)水のにおい、(4)透明度、(5)水質、(6)水生生物)があり、今までに気づかなかった水辺の景観、水の音、鳥の声、水のにおい等々新しい発見があり、自然環境に対する感性を高め、川に対する関心を高める活動を展開しています。また平成18年度と19年度には、指導者講習会を実施し、20年度には親子の水質調査を行いました。

●平成16年度から開始された全国一斉水質調査に毎年参加し、大淀川流域の24地点での水質調査とゴミ拾いを行っています。
 大淀川の水質は、大腸菌群数が、水浴場の基準値を大幅に超えているということで、子ども達が泳いだり、遊んだりする水浴場には適さないそうです。汚濁の原因は、主に家庭排水と畜産排水とされています。
 家畜排泄物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律が施行され、平成17年度から畜産排水に関しては、汚濁負荷は相当減少しているはずということですが、大淀川の水質は、まだまだよくなっていないようです。

 大淀川に清流を取り戻し、子ども達の安全で安心な遊び場とするのが「大淀川流域ネットワーク」の目指すところです。

●おおよど川「環境かるた」が平成18年度に完成し、子どもと一緒にかわや水環境をに対する知識を身につけることができるかるたということで、それぞれ50名のメンバーに一句ずつ書いてもらったもので、それぞれに環境に対する思いが込められている味のあるカルタだそうです。

●また各団体が行う、水辺環境に関する行事に指導者として協力参加し、川遊び、生物調査、水質調査、水辺環境調査など学識経験者、指導資格取得者を派遣しています。

●平成20年度は、宮崎県の「県民との協働」提案公募型事業に採用され、生活・協働・男女参画課、観光推進課、みやざきアピール課との協働事業として実施されています。
 これまでの活動は、主に子どもを対象として、自然体験合宿や川博士ツアー、川遊び、ウォーキングなどのイベントを開催してきましたが、昨今、大人にも川の自然を楽しめるメニューの開発が求められているということで、昨年度は、カヌー体験を大人を対象に実施してみたら、大変好評だったということです。
 そこで、この構想を発展させて、本県の観光に、エコツーリズムを活用した着地型観光を組み合わせることを提案したものです。
大淀川流域ネットワークは、大淀川流域とその近傍を対象として、身近な自然環境や歴史・文化などの地域資源を活かしたガイドツアーを開発。
 体験をとおして新たな発見や感動があり楽しくて満足できる旅をいろいろな主体と連携して提供することで、大淀川流域の観光振興と環境保全および地域振興を図ることを目的としています。
 いろいろな体験型のメニューを実施しますので、ぜひ参加して、大淀川の自然を満喫して欲しいとのことでした。

○大淀川のノスタルジーを巡るお散歩
9/27(土) 10/18(土)11/29(土) 13:30〜15:30

○綾南川を五感で感じる観察エコツアー
11/1(土) 10:00〜15:00

○渓流の自然を感じるツアー
11/15(土) 11/16(日) 10:00〜15:00

○大淀川の自然を楽しむカヌー体験
10/25(土) 13:30〜15:30 

○大淀川の流れを楽しむカヌーツアー
11/9(日) 9:30〜15:00

※エコツーリズムとは、自然環境や歴史・文化を対象として、それらを体験し、学ぶとともに、対象となる地域の自然環境や歴史・文化の保全に責任を持つ観光のあり方。
着地型観光とは、これまでの旅行商品が都市部の旅行会社で企画・造成される「発地型」であったのに対し、旅行目的地側の主導で行う観光のことです。地元にとっても、地域の自然環境や歴史・文化を見直すこととなり、そのことで地域おこしにつながるとして、注目されています。


〜お問い合わせ・連絡先〜


 NPO法人 大淀川流域ネットワーク
 代表  杉尾 哲(すぎお さとる)
 住所  〒880-0014  
     宮崎市鶴島2−9−6 みやざきNPOハウス 406号
 会員  150名
 電話  0985-20-2377
 FAX  0985-20-2377
 URL  http://www.sgcci.jp/net-oyodo/

ライターズEYE
 毎年、6月、7月、8月、9月がイベントや講座で最も忙しいそうです。
現在の30代の世代が、“川は危険、川はきたない”といわれて育った世代ということで、その子ども達が、川に近寄らないことを嘆いていらっしゃいました。
 きれいな水、少しきたない水、きたない水、大変きたない水によって棲んでいる水生生物が違うと言う話をききましたが、確かに昔小学校で習ったことをすっかり忘れている自分にびっくりでした。

「何年後に大淀川をきれいにしたいか?」という問いに対しては、「30年後、50年後、100年後かなー」という回答で、まさに悠久の川の流れを再生するという途方もない活動かもしれないが、誰かがやらないといけない、という熱い決意を感じました。
 行政がやってもいいような事業が多く、当然協働事業も多く抱えていらっしゃいました。いろんなツールも開発されていて、見せてもらいながら、川遊びをしていた、昔を思い出し、楽しい時間を過ごしました。
 某指定管理者への応募をしているとのことで、今後の活躍がますます楽しみです。
 大淀川でカヌーに乗ると、目線が川と同じになるので、新しい発見があるよ・・・・と教えてもらいました。運動の秋、カヌーに挑戦しようかぁなー・・・・・・
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