*このレポートは、「メディアミックスによるNPO・ボランティア広報事業」(宮崎県社会福祉協議会委託事業) の一部です。
【お話】延岡商業高校ボランティア同好会のみなさん
ボランティアは意外と肉体派?自分たちに出来ることはなんでもやってみよう!
 「たった今、幼稚園にコピー用紙の裏紙を利用して作ったお絵かき帳をクリスマスプレゼントを持って行ったんですよ!子供たちがすっごく喜んでくれて・・ 良かったね!」
 インタビューに答えてくれた部員の皆さんは、開口一番そう言って笑顔で話してくれました。普通の高校生だけど、自分たちで出来ることから地域に貢献していきたいと話す視線はまっすぐで、ボランティアを本当に楽しんでいる姿が印象的でした。


◆きっかけは・・・
 平成13年に延岡商業高校ボランティア部が設立。その後、福祉を中心としたボランティアを主に活動していました。でも平成19年辺りから、部員減少により活動が休止。今年度、再び同好会として活動を再開しました。最初は今の部長の彼たったひとりしかいなかったんですが、部活紹介で8人勧誘することに成功。9人から活動再開しました。この地域の美化活動だったり、老人施設にアクリルたわしをもっていったり、古切手を送って貧しい国を支援したりする活動からはじめて。今では男女ふくめて23人になりました。

−じゃもう同好会じゃなくて、部活動ですね?−

 部員数の問題ではなくて活動状況なんです。去年までほとんど活動していなかったんで、だから同好会になっちゃって。同好会だとまったく予算がないんですよ。全部自費参加です。だから活動費は、お金がかからないように工夫しながら。来年は部活になれるよう、今、がんばってたくさん活動しています。

長浜海岸清掃活動
 
長浜海岸清掃活動
 
保育園児にアカウミガメの話をする
 
保育園児にアカウミガメの話をする
 
裏紙ノートプレゼント
◆主な活動は?
海岸清掃活動、アカウミガメ保護活動、植樹、学童保育学習指導、小学校バザー・保育園夏祭り・保育園運動会・特別支援学校運動会文化祭・ふれあい福祉まつり等へのボランティア活動、赤い羽共同募金活動、エコキャップ運動、アルミ缶・裏紙リサイクル活動 他

【アカウミガメ保護活動】
 延岡市の社会福祉協議会が企画した高校生向けのクルージングに参加したとき、アカウミガメの死骸を目にしました。なぜ死んでしまったのか、理由を聞いたら「海に浮かんでいるゴミをエサと間違えて食べてしまったのだろう」と説明を受けて、なんとかこういう事故をなくしたいと思い保護活動を開始しました。具体的には市の文化財課の方やダイビングショップの方などからアカウミガメについて教えていただくという調査活動からはじめました。海岸の清掃も、その一環で続けています。

【植樹活動】
 北方の鹿川で行われた日本熊森協会の植樹作業にも参加しました。日本は水資源の豊かな国ですが、世界には水の奪い合いで戦争になっている地域もあります。この豊かな水は、豊かな山の自然がもたらしてくれたもの。だけど近年、人工林の増加や林業の衰退により山が荒れ、自然破壊が進んでいることを両親から聞き、あたりまえにある豊富な水がなくなってしまう可能性があることを知りました。自分たちの将来のためにも何かできることがないかと思い、植樹活動に参加することにしました。クヌギやシイノキなどを植えることで自然林が回復し、結果として私たちが暮らす環境の保護につながる、豊かな水を将来に残すという願いを込めて木を植えました。

◆活動を通してうれしかった事は?
 第31回宮崎県高校総合文化祭 国際・ボランティア部門 
 生徒研究発表 最優秀賞受賞
  
 絶滅の危機に瀕しているウミガメと環境問題のかかわりについて研究発表し、県で1校だけ受賞できる最優秀賞に輝きました。廃部寸前だった4月当初からコツコツ研究や活動を進め、部員全員でつかんだ初の受賞でした。この受賞は大きな成果であり、私たちのその後の活動に力を与えてくれました。

−具体的にどのような発表をしたのですか?−  

 協力してくださってダイビングショップの方から写真をお借りしたり、市の文化財課から資料を提供してもらったり、それをパワーポイントにまとめてスライドを使ってプレゼンテーションしました。延岡でのアカウミガメの上陸数は減ってはいないんです。でも、海岸の侵食は進んでいますし、アカウミガメは絶滅危惧種です。そういうことの啓発活動が保護につながるのではないかと思います。

◆どんなところにやりがいを感じていますか?
 自分たちの行っている活動(ほんの小さな活動)で、喜んでくれたり、頼ってくれたりしてくれる人がいることが、私たちの原動力です。また、多くの活動を通していろんな人とつながれることが楽しみでもあります。たくさんの出会いを大切にしていきたいです。

−本当に楽しそうですね。ボランティア部というと、一応文科系でしょう?でもお話を聞いていると、結構野外活動が多いですよね?−  

 海岸の清掃活動も、結構体力使いますしね(笑)まさか(植樹のために)山登りするとは思ってませんでした(笑)こんな苦労して木を植えて、なんになるんだろうって思いながら山を登ったんですが、そこでいっしょに登った日本熊森協会の方から山の現状や生態系について説明を受けたり、いっしょに作業したりして、実際に現場を目にしたり活動されていらっしゃる方のお話を聞くだけでも勉強になりました。たったひとりがたった一本の木を植えることでも、何年後、何十年後の地球のためになるんだという実感が持てました。

◆この活動を通じてどんな事を実現したいですか?
 高校生だけでなく、地域の人々が環境問題に少しでも興味、関心を持ち、自分たちにできることを、小さなことからでも実践していけるようにしていきたいです。
 自分たちで自主的に活動を続けていったおかげで、最近はいろんな方や団体からボランティアの依頼が来るようになりました。今年は新型インフルエンザとかの影響を懸念して、お断りすることもあって大変申し訳なかったんですけど、今後もできるだけ何でも、お手伝いできることがあれば積極的に依頼に応えたいと思います。


◆5年後どんな活動をしていますか?
 これまでと同じように、環境問題を軸に地域に根ざしたボランティア活動に取り組んでいると共に、福祉や国際ボランティアにも積極的に参加していると思います。

−高校を卒業しても?−  
 もちろん。社会に出ても地域に貢献する活動を続けていきたいです。宮崎、延岡は自然が豊かなところですが、それでもつい数年前に比べると急速に自然が少なくなっていると感じます。環境保護、自然保護を意識していかないと、なくなってしまうものなんだなと思いました。 そしてこのボランティア同好会も部活動に昇格して、自分たちが卒業した後も存続していて欲しいです。

◆協働事業への考え、取り組みについて
 アカウミガメの保護活動や植樹、美化活動とかは、地元のお店や企業など地域の方々や文化財課をはじめとする行政の方、NPOなど他の団体の方々の協力を得ながらいっしょに取り組んでいるのですが、そういうことも「協働」と言えるのでしょうか。特に意識して協働に取り組んでいるわけではありませんが、こういった活動は今後も続けていきたいですし、もっと地域の方々との連携を深めていきたいと思います。

◆最後に一言PRを
 昨年度、活動休止のため部から同好会に降格してしまいましたが、今年度は今までにない延商ボランティア同好会を作り上げるため、いろいろな活動をしてきました。そこで多くの人たちと関わることができ、出会いの大切さも実感しました。そして、小さな活動が、大きな成果につながることも知りました。今後もできることから始めるボランティア活動を続けていきたいと思っています。

〜お問い合わせ・連絡先〜

 名 称 延岡商業高校 ボランティア同好会
 代表者 早樋研汰(2年)部長 池袋美保子顧問
 住 所 延岡市桜ヶ丘3丁目7122
 部員数 17名
 電 話 0982-32-6348
 URL  http://www.miyazaki-c.ed.jp/nobeoka-ch/
 
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