*このレポートは、「メディアミックスによるNPO・ボランティア広報事業」(宮崎県社会福祉協議会委託事業) の一部です。
【お話】人間関係アプローチ宮崎“きらきら”
代表理事 辰身信子さん
心の支援になることすべてについてコミュニケーションに特化したプログラムを行うNPO。
スタッフは自身の専門性を研鑽しながら、100人の人に合うプログラムの研究に打ち込んでいます。地域のニーズに敏感にフットワークよく活動しています。


◆きっかけは・・・
 代表理事の辰身信子さんは、就職のためにさまざまな資格を取得してきました。ワーキング・マザーで働き続けるなか、お子さんたちが思春期に差しかかり、うまくいく子もいれば、そうでない子もいることに、親としての悩みが生まれました。当時は、不登校が大きな社会問題になっており、辰身さんは学びを求めて社会に一歩踏み出しました。受講した親子関係を改善するプログラムで「目が開いた」といいます。学んだことを実生活でやってみると「親の『ことば』でこんなに子どもが変わる」ことを実感しました。子どもが自分に近づき、笑顔が増えました。
 辰身さんは、その後もコミュニケーション・スキルの学習を続けノウハウを高めていきました。できることならば、これを自分の仕事として、講演や講座ができるようになりたいと望んでいましたが、親の責任が重くある状態であり、当時の安定した仕事を辞めてまでするわけにはいきませんでした。
 子育ての目処がたったとき、たまたま仕事に区切りができフリーになっていました。「どうしようか。コミュニケーション・スキルの講座を個人でやっていこうか。それとも就職しようか…。」そんな迷いをもっていた辰身さんに、ある知人が言いました。「宮崎に精神保健のNPOが必要だ。辰身さんにならできると思う。」辰身さんはその直前まで、宮崎市社協のピア・ルームでボランティア・コーディネーターをしていました。ボランティアやネットワークの仕事に通じていましたし、心理・福祉・医療分野にも携わってきました。とうとう辰身さんは「心の支援になることすべてについてコミュニケーションに特化した」仕事を個人ではなくNPOでやっていく決心をしました。“この指とまれ”の呼びかけに応じた仲間とNPO法人の設立を果たしました。平成15年のことです。
◆主な活動は?
グループワーク風景1
 
グループワーク風景2
 
グループワーク風景3
 
代表理事 辰身信子さん 

 NPO法人 人間関係アプローチ宮崎“きらきら”は、福祉・心理・医療の関係者の集まりです。“人間関係を豊かに”という視点で、多くの人々に、日常生活の中で活用できるコミュニケーションの技術を提供しています。

<1> 講座事業
=グループワークを大切にします=
○トマス・ゴードンメソッドの5講座
・親業講座・・・子どもとの関係を豊かにする
・看護/介護学講座・・・患者等との関係を豊かにする
・教師学講座・・・生徒との関係を豊かにする
・自己実現のための人間関係講座・・・自分を主役で生きるために周りとの関係を豊かにする
○エニアグラム講座・・・9つの性格を学ぶ人間学
○きらきらイメジェリー・・・安心してお産を迎えるため
○メンタルヘルス講座・・・組織活性化の心の健康づくり

<2> 相談事業
 面談カウンセリング
 (個人の情報について守秘義務を守ります。)

<3> 講演事業
 講師を派遣します

<4> きらきらカフェ事業
 毎月1回体験型説明会を開催

<5> その他イベント事業
 フォーラムやシンポジウムなどを開催します

■キャリア部門■
=徹底した演習形式のグループワークを提供します=
 EAP(従業員支援プログラム)のプログラム開発およびキャリアに関する啓発・支援を行います。
(※ EAPとは、組織のストレスマネジメントをサポートする従業員支援プログラムのことを言います。)
【内容】
・ ストレスマネジメント教育研修
・ 厚生労働省の4つのケアの計画策定相談
・ キャリアカウンセリング
・ e−ラーニングプログラムの提供
【期待できる効果】
◆ 業務生産性の向上
◆ 職場のメンタルヘルス対策
◆ 医療コスト増加の抑制
◆ 従業員満足度の向上と優秀な人材育成

◆100人の人に100のプログラムを!
 NPO法人 人間関係アプローチ宮崎“きらきら”が提供するコミュニケーション・スキルのプログラムは、トマス・ゴードン博士などの心理学の理論を基礎に置いたものです。さらに、ひとりひとりの人に合うプログラムが必要であるという方針のもとに、「100人に100のプログラム」づくりを余念なくスタッフは研究し開発が進められています。
※トマス・ゴードン 博士米国の心理学者。1963年、親業訓練講座(PET)(Parent Effectiveness Training)を開発した。
 設立して5年。クオリティが高い専門的なプログラムには定評があります。
 企業でのストレス・マネジメントの教育研修では、基礎知識の学習に、コミュニケーション・スキルのプログラムを組み合わせ、人と人が触れ合うとは、信頼し合うとはどういうことなのかをグループワークを通して学ぶことができます。
企業の人材養成や組織づくりの研修としても評価を得ています。

◆「このプログラムに出合えてよかった」の一言がうれしい
 「自分の言葉を変えるだけで、こんなに関係が変わるなんて。」「今まで相手のせいにしていました。」講座やカウンセリングに参加された人から、そのような感想が寄せられるそうです。
 コミュニケーション・スキルをグループ・ワークで学ぶことで、考え方を変えることができ、自分の言葉を少し変えるだけで豊かな人間関係に変わることを体験できるのだそうです。これを、相手のせいにしたり、自分のせいにしたりしていた今までの自分の考えからの「解放」だと辰身さんが説明してくれました。
 スタッフには他の事業所に就労している人もいますが、「100人に100のプログラムを」の目標に向けたプログラムや企画作りは夜になることが多く、土日も動きます。そんな活動を続けてきて、参加者からの「このプログラムに出合えてよかった」の一言をもらうと本当に嬉しいと辰身さんは言います。

◆地域の人を“きらきら”させたい
 企業から依頼されて人材研修を行う講師はその道の「民間企業」から来るような気がしますが、辰身さんたちは「NPO」です。しかも、こうしたコミュニケーションに特化した人材研修を行える専門家集団のNPOとして、宮崎県でも唯一の実績です。
 なぜNPOなのでしょうか。
 ボランティア・コーディネートや地域や活動のネットワークづくりの仕事の経歴をもつ辰身さんならではの答えを聞くことができました。
 コミュニケーション・スキルは、親子関係ばかりでなく、保育、学校、看護/介護、事業所等いろんな場面で同じように大切であり、場面が違っても、人と人との関係で起こっていることは同一。さまざまな社会の分野でコミュニケーションや人間関係の壁を経験し必要を感じた人が、プログラムに参加しています。学んだことをそれぞれの分野で実践してスキルが広がります。さらに分野の枠を超えてアメーバ的に広がっていくことでしょう。それによって、地域に、コミュニケーション・スキルを活かすことができる人が増え、どの人も“きらきら”輝いてくることでしょう。
 辰身さんは、このビジョンが、わがNPOのミッションであり、事業のコンセプトだと語ります。つづけてこうも言われました。「悩んでいる人自身が、一番専門性が高い。」 ひとりひとりが自分のその“専門性”を生かせるようになるためには、やはり「100人に100のプログラム」が必要だということになります。
 今後は、ひとりひとりの講師を育てる養成プログラムとフォローの開発研究を進められていくとのことです。
「NPOだから地域のニーズを開拓できる。フットワークもよくなる。社会への切り口を作りながら、畑を耕している感じです。」社会の畑を耕している辰身さんは昼夜とても忙しいのにとても楽しそうです。
 プログラムの詳しい内容や実施日程については、NPO法人 人間関係アプローチ宮崎“きらきら”のホームページおよび3つのブログをご覧ください。

〜お問い合わせ・連絡先〜

 NPO法人 人間関係アプローチ宮崎“きらきら”
 代表 辰身 信子(たつみ のぶこ)
 住所 郵便880-0014
    宮崎市鶴島2−9−6 みやざきNPOハウス308号
 正会員 15名
 電話 0985-28-1777
 FAX 0985-28-1785
 URL http://www.kirakira.fromc.jp/top.htm
<3つのブログ>
 NPOきらきら日記(みやcahn版)
 http://kira2.miyachan.cc/
 ぶーら・ボーラ版(宮崎県ボランティアセンター)
 http://www.bura-vola.org/vd/a020388/blog/Entry/263
 きらきらイメジェリー(CANPAN)
 http://blog.canpan.info/npo-kirakira/
ライターズEYE
 「NPOを仕事にする」目標を掲げるNPOも、宮崎県のなかに実はいくつかあります。
 それは新しい道を切り開くことであり、専門的な能力を磨きながら、生計を立てるというのは大変な努力が必要だと思うのですが、とてもエネルギッシュな明るいお話しぶりで、やりがいがぐんぐん伝わってきました。
 「5年後はどうなっていると思いますか?」と伺いますと、「こつこつやっていれば、(ミッションとコンセプトは)ぶれません。人が人をつなぎ活動の場を提供してくれるでしょう」と答えられました。最初は自分の悩み。学び続けて「自己肯定」「自己受容感」を身につけ、そして多くの人に広める講師になりました。講座や講演の参加者も、同じように悩みを抜け出して幸せになりたくて訪れます。あくまで講師と参加者の基本は1対1の関係。―そんなお話から、人々に共感をもって向き合っているNPOとしてのぶれないミッションが伝わってきました。
 ところで、宮崎県内ではまだまだ、「地域をよくするNPOだって、生計を立てる“仕事”にできるんだよ」ということが一般的に認知されていません。NPOが仕事として地域に定着すれば、行政でも企業でもない、もう一つのセクターとして社会を担えるようになります。そうすれば、力強く継続的に地域生活に潤いをもたらすと思います。
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