*このレポートは、「メディアミックスによるNPO・ボランティア広報事業」(宮崎県社会福祉協議会委託事業) の一部です。
【お話】フロンティア会
理事長 平尾隆光さん
“来れない人は、どうなるんですか?”というスタッフの一言で始まった

◆きっかけは・・・
 平成11年から、ハローワークが募集している失業者向けの公共職業訓練を有限会社アビリティという会社で行っていて、600人程の修了生を社会に送り出してきました。4・5年前からは、国の政策により、若年者訓練という若者向けの行っていましたが、ある日若い社員から、“自分から進んでハローワークに相談に行って職業訓練に来れる若者は、まだいいですよね。職業訓練に来れない若者達はどうなっているんですか?”と質問されました。ちょうどその頃、精神的な悩みや仕事に対する不安を抱えて就労もしていない、学校や職業訓練にも行っていない、ニートと呼ばれる若者たちが64万人もいるということが表面化しました。そのとき、“この若者達をなんとかしたい”という思いに駆られたんです。
 そこで、いろいろ調べてみたところ、厚生労働省事業で若者自立塾というのがあることを知りました。これを是非宮崎に作りたいと思って準備を始めましたが、たくさんの人の協力が必要な為、非営利のNPO法人を立ち上げました。平成18年1月から法人化への準備を始めて、9月14日にNPO法人の認証を得ました。
◆現在の主な活動は・・・
 
 
 
 
勉強の様子
 
 
 
修了式

 今は主に4つの事業を行っています。
(1)宮崎の若者自立塾『ふらっと』
(2)若者のイベント事業
(3)夢人(MUJIN)
(4)各種相談(電話・メール)、アウトリーチ活動

です。
 まず、(1)の宮崎の若者自立塾『ふらっと』は、3ヵ月間、若者と一緒に暮らして、日常生活の指導をしたり、職場実習などをして、社会人・職業人として必要な基本能力の獲得や、働くことについての自信と意欲を付けさせて、就労などへ導くことを目的とした厚生労働省委託事業です。当会は平成19年6月1日付けで認定されました。うちのコンセプトは、“一緒に遊ぶ、一緒に学ぶ”で、特に雑談を中心にコミュニケーションの力をつけることを重視しています。
 就労に関してはとにかくいろんなことを経験してもらおうと、農家さんでの芋の収穫・田植え・ごぼう洗い、バラ園の作業、清武ホースパークさんの馬のお世話、自動車修理工場で車の整備、老人ホームで老人との会話や雑用、コープさんで商品仕分け、他にもDM発送や竹炭つくりなど、皆さんの協力で、研修をさせてもらっています。
 対象は16歳から30歳台後半までの未婚の男女となっています。これまでに、18人ほどが修了しています。本人や保護者が、新聞を見て応募してきたり、県外からホームページを見ての問い合わせもありました。
 次に、(2)の『若者のイベント事業』ですが、この事業は、家に引きこもっていたり、外で遊ぶのが苦手な若者のために、人と出合い、楽しく遊ぶ機会を作ってあげて、何でも話せる友達や仲間をつくってもらいたいと考え、始めました。1年目は宮崎市市民活動補助金を頂いて、イベントを9回開催しました。参加者は、平均20人程度ですが、毎回楽しくやっています。原則誰でも参加できますので、本人と保護者で参加してくれている家庭もあります。気軽に参加してください。
 イベントを企画する実行委員会も毎週木曜日6時半から市民プラザ3階で行っていますので、そちらにも是非気軽に顔をだしてください。
 (3)の『夢人(MUJIN)』は、“ちょっとした事で前に進めない。親からはなれてみたい。何をしたらいいのか分からない。そんな気持ちがあれば、しばらくうちにこんね。”ということで、一緒に暮らしながら、自分を探し、雑談をしながら自分をみつめる場所を提供することを行っています。夢人(MUJIN)を起点にして学校に登校したり、会社に通勤するというものです。
 また、いじめなどで学校に行けなくなった子供や仕事をしたいけれどいろんな理由で仕事につけない無職の方なども受け入れて、生活指導や職業の相談などを行い、学校や仕事にいけるように支援しています。対象は、小学生から30歳位までの独身女性で、定員は4名です。今までに2名の無職の成人女性が入ってきて、私たちはいろいろな支援を行い就職させることができました。2名とも就職をしても数ヶ月は夢人にいましたが、一人立ちができる様にさらに支援を行って、自信をつけて巣立っていきました。
 (4)の『各種相談(電話・メール)、アウトリーチ活動』は、ひきこもりなどの相談を受けています。場合によっては、訪問支援(アウトリーチ)を行っています。
宮崎県でも、ニートやひきこもりの高年齢化という問題が起きています。定年退職した親が子どもの将来を憂うという状況になりつつあります。
 ひきこもり支援に関しては、ひきこもり親の会“楠の会”、NPO法人人間関係アプローチ宮崎”きらきら”、ひきこもり本人の自助グループ、不登校児親の会“コスモスの会”、宮崎若者サポートステーションなどとネットワークをつくって、連携・協力を進めています。


◆ひきこもりの原因は、どう思われますか?
  原因は、個人個人バラバラですが、クラスや部活のいじめで不登校になりひきこもるケース、親の子どもに対する過度な期待により子どもが押しつぶされてひきこもるケースなどがありました。成人してからは、仕事上のトラブルや人間関係でひきこもるケースもあるようです。共通して言える事は、コミュニケーションに問題を抱えていますが、いたって純粋で真面目ということです。企業実習などをさせると分かるのですが、何事もスタッフが心配するくらい無言で一生懸命やります。この真面目さ故に、つまずいてしまうのかなとも思います。
 自分を開示して理解してもらう、相手を理解する、言い返す、自己主張するなどを含むコミュニケーション能力がもっとあったら、そしてちょっと力を抜くことができれば、ひきこもりを回避できたかもしれませんね。

◆どんなことにやりがいを感じますか?
 もちろん、就職して自立できるようになることが最大の喜びですが、若者が良い方向に変わっていく、ちょっとしたことでも大喜びしています。親御さんから「子どもが自分から話してくれるようになった」とか、県外から入塾してきた子が、「宮崎が第二の故郷になった。」といってくれたときは、本当に嬉しかったです。

◆この活動を通して、どんなことを実現していきたいと思いますか?
 立ち止まってしまっている若者の支えになり、一人でも多く社会に出して、経済的自立ができるように支援していきたいと思っています。
 体力や金銭的・精神的な負担が大変ですが、若者の明るい笑顔が見たいという思いで、家族、仲間全員で取り組んでいきます。


◆今後は、どのような活動をしていく予定ですか?
 今行っている事業は今後も継続していく予定ですが、さらに事業を拡大して、精神的に追い込まれた若者のために、就労自立に向けたグループホーム(「共同生活援助」)の設置を考えています。
 グループホームとは、地域において共同生活を営むのに支障のない障がい者に、主として夜間、共同生活を営むべき住居において、相談その他の日常生活上の援助を行うことをいいます(障害者自立支援法第5条第16項)。
 フロンティア会の考えるグループホームは、病気の治療は病院に任せて、私たちは就労に主眼をおいた支援を行います。フロンティア会は若者自立支援のNPO法人なので若者に限定し、全国的に不足している女性向けの施設にする予定です。まずは、宮崎市に設置し、将来的には、宮崎県下に増やしていきたいと考えております。
 もう一つ、児童福祉施設を義務教育終了後に退所し就職する児童(16歳から20歳)の支援が出来ないかと考えています。保護者がいても虐待を受け、家庭復帰できない児童、児童養護施設等を退所する年齢に達しても引き続き生活習慣などの指導が必要な児童、自立意思はあるものの就職難などにより自活できない児童、社会経験の不足から、対人関係や就労意識が十分に育っていないなどの児童も存在し、近年の経済状況の悪化などに伴う就職難もある中、厳しい環境に置かれているようです。
 こうした児童等と寝起きを共にしながら就職の開拓や、日常生活援助等を行い、社会的自立の支援・促進を目的とする施設を自立援助ホーム(児童福祉法第6条の2)といいますが、こことの共同や支援も視野にいれようと思っています。
ニートは労働分野、ひきこもりや精神障がい者などは保健分野、と行政的には縦割りになっていますが、最終的には、自立して一人で生きていけることを目標とすることに変わりはないと思っています。制度的な壁はあると思いますが、5年後は、障がい(精神、知的、発達、聴覚、視覚)の違いに関係なく、全ての若者の自立支援を行えたらと思っています。とは言うものの、当法人は、労働分野からの立ち上げでしたので、今後は、福祉・医療の分野の方々の協力を得たいと思っています。
 また、一ヶ月ひきこもるなら、一ヶ月旅をしよう!という企画で、バスでの“日本一周プロジェクト”も是非実現したいと思っています。誰かバスを寄付してくださいませんか?

◆協働事業への取り組みは?
 宮崎県の平成18年度第1回のパートナーシップ創造事業で「若者自立支援施設設置・運営事業」を選んでいただき、労働政策課と協同して、若者自立支援の基礎を築くことができました。
http://www.pref.miyazaki.lg.jp/contents/org/chiiki/seikatu/npo/page00151.html
 その成果もあって、宮崎県の推薦を頂き、厚生労働省の委託事業「若者自立塾」も受託できましたので、大変感謝しております。
 また、若者イベント事業では宮崎市から補助金を頂いて実施することができました。
今後は、もっといろいろな機関との協働を考えていきたいと思っています。

◆最後に一言PRを
 まず、宮崎県にもこんなNPO法人がある事をお知りいただき、助けを必要としている若者には当会をご紹介していただきたいと思っています。必ず力になれると思います。 そして、私たちの行っていることに賛同していただける方は、是非ご協力をお願いします。ボランティアや実習先など、いろいろな方のマンパワーを必要としています。自分が協力出来る事などないなどと思わず、年齢性別仕事に関係なく、気軽に参加してください。ちょっとの時間でもいていただけると、住む世界が狭い若者は知らない人と関わることで世界が少し広がります。
 さらに、当会は資金や設備的にも大変乏しく、私財を投げ打って運営資金に充てたり、施設も良き理解者のご好意により無償でお借りしている状態で、十分な活動ができているとは言えません。お気持ちで結構ですので、個人や企業の方の寄付や物品の提供などお願いします。
 振込先は、
  宮崎太陽銀行  南支店(店番003)
  普通預金  口座番号1125949
  特定非営利活動法人 フロンティア会 理事長 平尾隆光
なお、振込後ご連絡をいただけると幸いです。
今後ともよろしくお願いします。ありがとうございました。
〜お問い合わせ・連絡先〜

 特定非営利活動法人「フロンティア会」
 理事長 平尾隆光
 〔事務局〕
  〒880-0930 宮崎市花山手東3丁目13番地7
  事務局携帯  080-3975-5013
 〔宮崎の若者自立塾『ふらっと』〕
   〒881-0115 宮崎県西都市大字上三財4729番2
  電話  0983-44-5537
  http://www.ability-ss.org/frontier/

 
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