*このレポートは、「メディアミックスによるNPO・ボランティア広報事業」(宮崎県社会福祉協議会委託事業) の一部です。
【お話】エコライフ・西都
理事長 小浦紀男さん
◆きっかけは・・・
 菜の花を通じて、資源循環型社会をめざす「西都菜の花プロジェクト」と、西都市の「稚児ケ池」の水質浄化に取り組む市民グループ、それと西都市三財の「里山の森づくり」に取り組むグループが一つになって発足しました。

 稚児ケ池の水質浄化に取り組む市民グループは、西都市の中心部にある「稚児ケ池」の環境浄化活動が、まず発端です。稚児ケ池は、市の所有です、昔は、よく池で水泳をしたり、池の周りで遊んだものでしたが、いつの間にか池と離れて生活するようになりました。ずっと放置されて、家庭の生活排水が池に入り込み、水草で池が覆われて、ひどい悪臭を放っていました。そんな中、何とか池を再生したいという思いが一致して、ボランティアと建設業協会、造園業組合と市の協力で、水草の除去が始まりました。平成11年から14年にかけて、水草を全部とり、EM菌を使って水質浄化を行いました。建設業協会、造園業組合の若手が、仕事の合間を見てやってくれました。水草を除去する装置も1,000万円位する特注の装置です。
 市がEM発酵液を生産する機器を購入してくれて、造園業協会の人たちが、毎週1,500リットルくらい池に流し込みました。発酵液を流し込んだ結果、平成15年くらいから悪臭がしなくなりました。  
 堤防を通りかかったひとが、ペダルボートを浮かべてはどうか、と提案してくれて、子供の国で古いものが係留されているということを聞きつけて、市と一緒に宮交に行って交渉し、無償で譲渡してもらいました。
 このペダルボートは、一石三鳥の効果があります。(1)楽しむ、(2)スクリューでEM菌のかくはん、(3)景観が良くなる。
 稚児ケ池の会は、ボランティア団体で組織は18団体、総勢70〜80人が参加しています。西都市役所の都市計画課チームも入っています。
 ペダルボートは、年間2〜3,000人くらいの利用者がいます。

'08西都原菜の花の植え付け
 
'08稚児ヶ池湖上ライブ
 
西都原花まつりに出店'08
 
廃油ローソク講習会
 
米のとぎ汁とEM菌講習会
 
穂北の蕎麦畑
 
夜の湖上ライブ
 
手作りの菜たね油、はちみつ、そば粉
 西都菜の花プロジェクトは、「ひむかなの花エコプロジェクト」の西都支部が発端となって結成された団体です。子供会とかと一緒になって、菜の花の移植をし、花を楽しんだ後は、菜種を収穫して、油を搾り、食用の油にします。また使い終わった油は、車やトラクターなどのバイオデーィゼル燃料にします。燃料で排出される二酸化炭素は、再び菜の花が吸収する資源循環型の社会を目指しています。  
 
「里山の森づくり」は、県の助成金で、営林署と地域のボランティアと一緒に4年前から植樹祭や育樹祭をやりながら、環境を考える場をつくったり、交流目的のレクレーション(音楽)を楽しんだりしています。毎回70〜80人のボランティアが参加します。更にブラックイルミネーションのイベント等も行ったりしています。(会場では、電気を使わず、廃油ろうそくの灯りで、地元のアーティストによるミニコンサートや地元で採れた野菜と猪肉を使った「シシ汁」のふるまい等を実施)
 会場は三財の体験型農家民宿の「結(ゆい)の里」を利用しています。  

 上記3つの団体で、環境を考えるNPO法人をつくろうということで、ひとつにまとまったのが、エコライフ・西都です。それぞれの団体から2,3人が役員として参加しています。


◆主な事業について教えてください
 まずは、人柱伝説がある長千代丸の慰霊祭の実施です。室町時代からある伝説ですが、稚児ヶ池には、大蛇のたたりによる大雨で池の堤が壊れたときに14歳の少年・長千代丸が人柱になって決壊が治まった、との伝説が残っています。会は平成17年の2月から慰霊祭を行って、4回目になります。稚児ケ池を地元住民の心のよりどころにしたい、との思いがあります。

 2つ目は、湖上ライブです。稚児ヶ池に浮かべたイカダの上で、ウクレレによるハワイアンバンドやフラダンスチームが登場します。一昨年の夏に続き、地元住民らが催した2回目の湖上ライブ。

 3つ目は、県の委託事業の「イエロープロジェクト」の実施です。県や宮崎大学と一緒に代替エネルギーとしての菜の花やヒマワリから油を採り燃料として利用しようという黄色い油田構想は今年から試験栽培が始まりました。ハウス施設の燃料にバイオ燃料を活用しようと県がすすめるプロジェクトで、米の後作として、また遊休農地の活用を兼ねて採算性と栽培システムを探ります。年間予算1,000万円の3ヶ年間の事業です。菜種の品種としては、ナナシキブ、キラリボシ、T830(家畜の飼料)を使います。

◆活動を通して今までで一番うれしかった事は?
 やはり、稚児ヶ池の復活です。みんなの協力で、賛同者が出てきて、活動が認められて、みんなが活動に参加し、池の浄化が現実のものとなったことです。活動の広まったことが嬉しかったです。

◆どんなところにやりがいを感じていますか?
 活動が行政や学校に広がって来たということですね。妻北小に特別プログラムで「西都学」という講座があり、1、2年生を対象に環境教材として菜種を使ってもらっています。花壇に植えて、収穫して、それを絞って学校給食に使ってもらうという循環サイクルを行っています。またEMに関しては、EMネットみやざきが中心になって、畑や田んぼの土質改良・池の浄化を行っています。
 菜の花に関しては、今となっては笑い話ですが、“花を見るためのもので、食べるものではない、市が金を出して菜の花を植えているので、勝手にするな”みたいなことを言われた事が過去に有りました。又、“菜の花にミツバチが来るから駆除するかもしれない”とも。  
 実働してきて、本当に成果が出て来たということです。

◆この活動を通じてどんな事を実現したいですか?
 今、「記・紀(きき)の道」の整備が国と県、市ですすめられています。記・紀というのは日本で最も古いと言われる『古事記』と『日本書紀』のことです。西都市には、年間120万人の観光客が訪れますが、ほとんど宿泊をしません。できれば、滞在・宿泊する環境づくりをしていきたいです。“西都原”と“記・紀の道”と“稚児ヶ池”をつなぎ、人と人とをつないで、みんなが集まる街づくりをしていきたいと思っています。また遊休の土地の活用をして、菜の花でうずめて、菜種油を絞るという循環型社会をつくりあげてみたいです。

◆5年後どんな活動をしていますか?
 同じですが、循環型社会をつくりあげてみたいです。市民全員の環境に対する意識改革が必要だと思います。以前からすると活動もやりやすくなってきています。代替エネルギーへの転換をあと2年くらいで実践してみたいです。また40代から50代の後継者育成をしていき、次の世代へ橋渡しをしていきたいです。また応援する人の確保ですが、日常的に活動する実働部隊がほしいです。そのための費用の確保が必要です。

◆協働事業への考え、取り組み、実績について
 県のイエロープロジェクトの委託事業を行っています。協働といっても、自治体の下請けになるのはだめだと思います。企画の段階から参加して、いいものをつくりあげていくルールが必要ではないでしょうか? 今後、指定管理者へ手を上げる計画もあります。

◆最後に一言PRを
 稚児ケ池を地元住民の心のよりどころにしていきたいと思っています。池ににぎわいが戻って、このにぎわいを西都のまちの活性化に広げていきたいと考えています。代替エネルギーを活用する資源循環型社会を作っていきたいと考えています。今後もいろいろなイベントも企画していきますので、多くの方の参加とご協力をお願いします。

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※記・紀(きき)というのは日本で最も古いと言われる『古事記』と『日本書紀』のこと。
哲学者の梅原猛さんによれば、記紀に語られる日本神話は高天原神話(たかまがはら)・出雲神話・日向神話に別れ、高天原神話は天上での物語で、地上で繰り広げられた神話は出雲神話と日向神話だけだそうです。また、出雲神話に比べ日向神話はより具体的な記述に富んでいて神話と歴史を結ぶ接点となっており、記紀によれば南九州からの進入軍が大和を占領して王家となり、のちに日本全国を征服して天皇家となったということです。
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〜お問い合わせ・連絡先〜

 NPO法人 エコライフ・西都
 代表者 理事長  小浦 紀男(こうら としお)
 法人認証年月日 2008年5月26日
 事務局長  五島 哲也(ごとう てつや)
 会員数 26名
 住所 〒881-0005 宮崎県西都市大字三宅2725番地
 電話番号0983-43-0562(小浦) FAX 0983-43-0562
 
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